雪の降る夜は

こんな日に、

僕はひとりきり、街をさまよっている。

雪が降った。しかも大量に。

そして、今も降り続いている。


こんな日に、

家にも帰れず、身動きがとれない。

電車が止まった。雪のせいで。

そして、夜は否応なく更けていく。


こんな日に、

凍てついた街に放り出されたまま、

どうにもならない身体と心を持て余している。


そのとき、僕の胸元が震えた。

思いがけないメッセージ。

ふと目線を上げれば、

少し先の交差点に、キミがいた。


こんな日に、まさか会えるなんて。

こんな日に、ふたりきりになれるなんて。

これはサンタクロースがくれたチャンス?

それとも、クリスマスの奇跡だろうか。


こんな日に、

僕はキミとふたり、街を眺めている。

雪が積もった。一面の銀世界。

朝日がキラキラとそれを照らす。


こんな日は、

もう少しふたりで、こうしていよう。

時を止めて、夜の続きを。

そして、ふたりはそっと微笑みを交わした。






朗読/蒔苗勇亮

ストーリー/いとうかよこ

© 2018 by Night Cap Story.

Proudly created with Wix.com