恋をするには

「逢いたくない」

思わずそう言ったのは、

逢えばきっと、

この気持ちが全部バレてしまうから。


隠しきれない想いは

キミを困らせるだけと知っているから。

本音は小さな箱にしまい込んで、

心の奥の奥に沈めたんだ。

それなのに…

キミは無邪気に、無自覚に、

「逢いたい」ってボクに言うんだ。


そっけない言葉の裏に心を隠して、

クールな態度で精一杯強がるボクは滑稽かな?

でも、恋をするには、ふたりの距離は近すぎる。

素直になるには、大人になりすぎた。


「逢いたい」「逢いたい」と叫ぶ心を見ないふりして、

ボクは今夜も、キミへの気持ちに鍵をかけ直す。






朗読/蒔苗勇亮

ストーリー/いとうかよこ

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